WordPressドクターへの依頼背景と相談内容
千葉県市川市の個別学習指導を行っているR社は、地元の生徒に向けた教室運営のほか、全国の学習者に向けてオンライン教材を販売するEC機能付きのWordPressサイトを運営していました。サイトはECプラグインを導入し、オンライン決済を可能にするなど、一般的な構成で作られていましたが、2024年の秋ごろからトラブルが発生し始めました。
生徒の保護者や受講希望者から「決済画面でエラーになる」「カートに商品を入れてもチェックアウトできない」などの報告が相次ぎ、特にスマートフォンからの利用時に不具合が頻発する傾向が見られました。WordPress本体やプラグインのアップデートを行っても問題は解消せず、Googleアナリティクスのデータでもコンバージョン数の急落が確認されました。
こうした状況を受けて、同教室ではこれ以上、自己対応を続けるのはリスクが高いと判断し、WordPressドクターへサイト診断と復旧の依頼を決断しました。
WordPressサイト調査と技術的課題の特定
ヒアリングとサーバーアクセスをもとに、サイト全体の構造や設定、プラグインの挙動などを詳細に調査しました。その結果、複数の技術的な問題が絡み合っていることが明らかになりました。
まず、利用されていた決済プラグインが、現在のECプラグインのバージョンとの互換性に問題を抱えており、支払い処理中に通信エラーが発生していたことがわかりました。
また、サイトに導入されていたキャッシュ系プラグインの設定が適切でなく、EC機能の根幹である「カート」や「チェックアウト」ページでもキャッシュが効いてしまっており、セッションが切れてしまうトラブルの原因となっていました。
さらに、スマートフォン向けの子テーマ内に記述された独自のJavaScriptコードにバグが存在し、購入ボタンが正常に反応しないという問題も確認されました。一部のコードは、jQueryの非推奨な書き方をしており、特定のブラウザ環境下でのみ発生する不具合となって表れていました。
そのほかにも、SSL証明書の自動更新が一時的に停止していたことがあり、一部ユーザーのブラウザで「この接続は安全ではありません」という警告が表示されるケースも報告されていました。
WordPressに実施した対応と復旧内容
これらの課題を踏まえ、WordPressドクターでは段階的に対応を行い、トラブルの原因を一つずつ丁寧に解消していきました。
まず、決済プラグインを旧式のものから切り替えました。あわせて、別のシステムの導入も提案・実装し、クレジットカード決済やApple Pay、Google Payといった選択肢が広がることで、ユーザーにとって利便性が高まりました。
次に、キャッシュプラグインの設定を見直しました。EC機能に関わるページ、特にカート、チェックアウト、マイアカウントページについてはキャッシュ除外設定を行い、セッション切れが起きないように最適化しました。これにより、購入途中でのエラー発生が大きく減少しました。
さらに、フロントエンドのJavaScriptについても修正を実施。子テーマに含まれていた不安定なスクリプトの記述を整理し、ECの仕様に適した形に書き換えることで、特にスマートフォン環境での操作性が大幅に向上しました。
TLS証明書の問題については、自動更新設定を再構築し、以後の期限切れを防止。これにより、常時SSLの安定運用も確保されました。
これらの作業にかかった費用
・決済まわりのプラグイン再構築:40000円
・キャッシュ設定とフロントエンドのスクリプト修正:40000円
・SSL対応や動作テスト等:20000円
計 110000円 (納期は5営業日)
緊急対応にも柔軟にご協力いただきました。
WordPressドクターの対応成果とクライアントの反応
対応完了後、クライアント様からは「以前のような決済エラーがまったく出なくなり、本当に安心して販売を再開できた」とのコメントをいただきました。特にスマートフォンユーザーからのエラー報告が完全になくなり、Googleアナリティクス上のコンバージョンデータでも改善傾向がはっきりと確認されました。
Stripeの導入により決済手段が多様化したことで、保護者からも「決済が簡単で助かる」といった声が届くようになり、顧客満足度の向上にもつながっています。また、今回の作業とあわせてWordPressドクターが提供した「保守チェックリスト」や「トラブル時の簡易マニュアル」も社内で活用されており、運用体制の強化にも貢献しています。
クライアント様は「もし今後また不具合が起きたら、御社に頼もうと思っています」と語っており、今後も安心して運営できる土台が整ったと言えるでしょう。
おわりに
WordPressは自由度が高く、個人・法人問わず多くの事業者に選ばれているCMSですが、その分、構成やプラグインの組み合わせによって思わぬトラブルが発生するリスクもあります。特にECサイトにおいては、「決済ができない」「セッションが切れる」といった問題が直接売上や信頼性に関わってきます。
今回のように、表面化していなかった技術的な課題を専門家の手で調査・分析し、的確な手当てを行うことによって、サイトは再び安定稼働を取り戻しました。今回のクライアントのように、「今までは自己対応でなんとかしていたが、限界を感じた」とお悩みの方は、ぜひ早めに専門家に相談してみることをおすすめします。