東京都作家(劇団主宰)|劇団公式Webサイトの消失からのWordPress復旧対応

背景と相談内容

本案件は、東京都在住の作家であり、劇団の主宰も務めるクライアントからのご相談でした。ある日突然、劇団の公式Webサイトが閲覧できなくなり、関係者・観客との情報共有が完全に断絶された状況となったとのことでした。

劇団の活動は定期公演だけでなく、ワークショップや演出依頼、取材受付など多岐にわたっており、Webサイトは単なる情報掲示板ではなく、ビジネスの中核とも言える存在でした。それだけに「復旧が急務」であるという強い要望がありました。

相談時点での状況は以下のとおりです:

  • Webサイトが完全に表示されず、管理画面にもアクセス不可。
  • ドメインのWHOIS情報に関する警告メールが過去に届いていた可能性がある。
  • 管理を外注していたが、その業者と現在は連絡が取れない。

このような緊急性と複雑性を含む案件に対し、WordPressドクターは即日対応に踏み切りました。

調査と技術的課題の特定

まず、アクセスできなくなったドメインに対し、ブラウザとサーバー側の両面から挙動を確認。HTTPエラーやDNSルックアップの異常を調べ、原因を段階的に切り分けていきました。

調査により判明した主な原因は以下の3点でした。

ドメインWHOIS認証の期限切れ

クライアントのドメインは、レジストラから送られるWHOIS確認メールへの応答が期限内になされなかったため、一時的にドメインが凍結状態に置かれていました。これは最近のICANNのポリシーに基づいた仕様変更によるもので、多くのユーザーが見落としがちなトラブルです。

データベースのバージョンが古い

WordPress本体の更新が行われていた一方で、MySQLのバージョンが5.x台のまま放置されており、互換性エラーにより読み込み不能な状態にありました。これはホスティング環境がレガシー構成のまま運用されていたことに起因しています。

WordPress本体・テーマ・プラグインのアップデート不備

いくつかのプラグインが古いjQueryやPHP記法に依存しており、PHP 8.1以降の環境でエラーを出していたため、コードの改修または差し替えが必要な状況でした。

実施した対応と復旧内容

本案件では、システムインフラからアプリケーションレベルにいたるまで、総合的な復旧と再設計が求められました。実施した主な作業は以下のとおりです。

DBバージョンアップ(10,000円)

レンタルサーバー会社の管理画面からPHPおよびMySQLのバージョン管理設定を確認し、段階的なアップグレードを実施。WordPressが正常動作する最新推奨バージョン(MySQL 8.0系)に切り替えた上で、エンジンエラーや文字コード不整合の確認と修復を行いました。

ドメイン認証の更新(6,000円)

レジストラにWHOIS認証の再送信を依頼し、クライアントが登録アドレスを確認できない状態だったため、所有確認プロセスの代理対応も実施。数時間以内にドメインの有効化とDNS復旧を完了させました。

サイト全体のコードとツールの最新化(14,000円)

テーマファイル内の非推奨関数を置換、プラグインのバージョン管理を再整備し、必要に応じて代替手段へ移行。jQuery依存部分の整合性も保ち、サイト全体がPHP 8.1 + WordPress最新版で安定稼働できる状態へ移行しました。

復旧後は、管理画面へのアクセス制限とバックアップ自動化を設定し、将来的なトラブルに備える体制も整備しました。

成果とクライアントの反応

今回の対応により、劇団のWebサイトは完全に復旧し、関係者との連絡手段や今後の公演告知も滞りなく行える状態になりました。

クライアントからは、

「自分では何もわからず、もう諦めるしかないと思っていたので、まさに救われた」
「復旧だけでなく、将来の保守も含めて考えてくれたのがありがたかった」
「技術的なことも丁寧に説明してもらえて、安心できた」

という言葉をいただき、継続的な保守契約のご相談もいただいております。

まとめと今後の展望

この案件は、Webインフラ全体を俯瞰してトラブルを解決する能力の重要性を再確認させてくれるものでした。ドメイン管理・DBバージョン・PHP互換・プラグイン整合性といった複数のレイヤーで問題が同時に発生しており、各要素に精通していなければ迅速な復旧は困難だったでしょう。

WordPressドクターでは、今後も「困ったときの最終駆け込み寺」として、クリエイティブ業界や中小事業者の方々を支援し続けてまいります。